マラソンブームの到来で、街中を颯爽と駆け抜けるランナーの姿をよく見かけるようになりました。あなたも、マラソンに挑戦しようと決意し、トレーニングに励んでいるのではないでしょうか?
しかし、せっかく始めたランニングも、トレーニングのし過ぎで怪我をしてしまったり、精神的に疲れてしまい走るのをやめてしまう人を多く見かけます。
「もっと速く走りたい」「もっと長く走りたい」という気持ちは大切ですが、それ以上に大切なのは、「怪我なく、楽しく走り続けること」ではないでしょうか?
そのためには、トレーニングの「強度」を適切にコントロールすることが重要です。
この記事では、市民ランナーの皆さんに向けて、マラソンに向けたトレーニング強度について詳しく解説していきます。基礎知識から実践的な内容まで網羅しているので、ぜひ最後まで読んで、あなたのランニングライフに役立ててください。
マラソンにおけるトレーニング強度とは?
トレーニング強度とは、運動の負荷の大きさを表す指標です。マラソントレーニングにおいては、主に以下の要素で強度を調整します。
- ペース:走る速さ
- 距離:走る距離
- 頻度:走る回数
- 休息:トレーニングとトレーニングの間隔
これらの要素を組み合わせて、自分に合ったトレーニング強度を設定することが重要です。
なぜトレーニング強度が重要なのか?
適切なトレーニング強度で練習を行うことは、ランニングを長く楽しむために不可欠です。その理由を詳しく見ていきましょう。
① 効果的な体力向上
トレーニング強度が低すぎると、体力向上効果が低くなります。逆に、高すぎると、疲労が蓄積しやすく、怪我のリスクも高まります。適切な強度でトレーニングを行うことで、効率的に体力向上を図り、ランニングに必要な持久力やスピードを養うことができます。
② 怪我の予防
トレーニング強度が高すぎると、身体への負担が大きくなり、怪我のリスクが高まります。特に、オーバーユース(使い過ぎ)による怪我は、ランナーにとって大きな悩みの種。適切な強度でトレーニングを行い、身体を徐々に鍛えることで、怪我を予防することができます。
③ モチベーション維持
トレーニング強度が自分に合っていないと、辛いと感じたり、飽きてしまったりすることがあります。適切な強度でトレーニングを行うことで、達成感を感じやすく、モチベーションを維持することができます。
トレーニング強度を決める指標
トレーニング強度を客観的に判断するための指標はいくつかあります。ここでは、代表的な指標を紹介します。
① 心拍数
心拍数は、運動強度を測るための最も一般的な指標の一つです。最大心拍数に対する割合で運動強度をゾーン分けする方法がよく用いられます。
最大心拍数の求め方
一般的には、「220 – 年齢」で計算します。例えば、30歳の方であれば、220 – 30 = 190 が最大心拍数となります。
心拍ゾーン
ゾーン | 心拍数 | 運動強度 | 効果 |
---|---|---|---|
ゾーン1 | 最大心拍数の50~60% | 非常に軽い | 基礎体力向上、疲労回復 |
ゾーン2 | 最大心拍数の60~70% | 軽い | 有酸素能力向上、脂肪燃焼 |
ゾーン3 | 最大心拍数の70~80% | ややきつい | 持久力向上、乳酸性閾値向上 |
ゾーン4 | 最大心拍数の80~90% | きつい | スピード持久力向上、VO2max向上 |
ゾーン5 | 最大心拍数の90~100% | 非常にきつい | 最大酸素摂取量向上 |
② 呼吸法
呼吸の状態でも、トレーニング強度をある程度判断することができます。
- 会話ができる程度:ゾーン2 程度
- 会話が少し苦しい程度:ゾーン3 程度
- 会話ができない程度:ゾーン4 以上
マラソンに向けたトレーニング強度の設定方法
マラソンに向けたトレーニング強度は、目標とするタイムや現在の体力レベルによって異なります。ここでは、一般的な目安となる強度設定方法を紹介します。
① 目標タイム別トレーニング強度
- サブ4を目指すランナー
- LSD(Long Slow Distance):ゾーン2
- ペース走:ゾーン3~4
- インターバル走:ゾーン4~5
- サブ3.5を目指すランナー
- LSD:ゾーン2
- ペース走:ゾーン3~4
- インターバル走:ゾーン4~5
- tempo走:ゾーン3
- サブ3を目指すランナー
- LSD:ゾーン2
- ペース走:ゾーン4
- インターバル走:ゾーン5
- tempo走:ゾーン3~4
② 体力レベル別トレーニング強度
- 初心者ランナー まずは、無理のないペースで走り続けることができるように、ゾーン2 でのLSDを中心にトレーニングを行いましょう。徐々に距離や時間を延ばしていくことが大切です。
- 中級者ランナー LSDに加えて、ペース走やインターバル走など、強度の高いトレーニングも取り入れていきましょう。ただし、身体への負担を考慮し、適切な休息を挟むようにしてください。
- 上級者ランナー 目標タイム達成のために、質の高いトレーニングを積み重ねていきましょう。トレーニング強度だけでなく、フォームや栄養管理などにも気を配ることが重要です。
トレーニング強度を上げる際の注意点
トレーニング強度を上げる際は、以下の点に注意しましょう。
- 段階的に強度を上げる 急に強度を上げると、怪我のリスクが高まります。徐々に強度を上げていくようにしましょう。
- 身体のサインを見逃さない 疲労が蓄積していると感じたら、無理せず休息を取りましょう。痛みや違和感がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 休息もトレーニングの一部 トレーニングの効果を高めるためには、適切な休息が不可欠です。睡眠時間を確保し、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
まとめ
この記事では、市民ランナーの皆さんに向けて、マラソンに向けたトレーニング強度について解説しました。トレーニング強度は、マラソンのパフォーマンスを左右するだけでなく、怪我の予防やモチベーション維持にも大きく関わってきます。目標とするタイムや体力レベルに合わせて、適切な強度でトレーニングを行い、ランニングを長く楽しみましょう。